—雨宿りの玄関—
夕方に友人と出掛けていた時、雨が降ってきた。朝の時点で雨の予報はなかった為、傘を持っていなかった。
「雨が止むまで、家来る?」
「いいの?」
「多分ばあちゃん仕事だし、大丈夫だよ」
僕は彼の心遣いに感謝して頷いた。
彼は以前、マンションで祖母と二人で住んでいると言っていた。
それから少し走ると、彼のマンションに着いた。
「ただいまー」
「すみません、お邪魔します」
どうやら彼の言った通り、家には誰もいないらしい。その代わりに——。
「ペコ、ただいまー」
ワンワンという鳴き声と共に、一匹のプードルが出迎えてくれた。「よしよし」と彼は撫でる。
「あれ、犬飼ってたんだ」
「最近飼い始めたんだ。可愛いだろ」
とても可愛いと思った。僕も少し前まで犬を飼っていたから、余計にそう思うのだろう。
ペコは友人の背後にいた僕を見つけると、勢いよく駆け寄って来た。
「すごく人懐っこいんだね」
灰色の毛を僕の足に擦り当てて来る。僕がペコを撫でても全く抵抗しない。むしろ撫でてほしいと言っているようだった。
「出会って三秒でこれだからな。本当に人懐っこい犬だと思う」
僕はペコと触れ合って、心が癒されていた。
お題:tiny love
10/30/2025, 12:06:58 AM