結婚した当時、二世帯住宅の2階部分を借りて新婚生活を始めた。南向きの広い窓からは富士山が見える、6畳二間の部屋だった。2階への玄関は1階の玄関の隣にあって、玄関を開けると土間になっていて右手に下駄箱があり、階段を上がると、部屋になっていた。
台所は3畳くらいで洗濯機が置けて、その奥にトイレがあり、洗面所があり、お風呂場になっていた。
子供が生まれて、ハイハイをするようになった頃、階段が危ないから、というのでカギのかかる引き戸とカーテンを付けた。
ある時、うっかり引き戸を閉めるのを忘れて、階段を下りて、玄関へ何かを取りに行き、階段の上を見ると、息子がニッコリ笑ってるのが見えた。『危ない!』と思う間もなく、コロンコロンと息子が転がってきて、どう受け止めたか覚えてないけれど、息子はわたしの胸で大泣き。
その後も3歳くらいの時、『かぁちゃーん!』と、階段を下りるわたしを勢い良く追いかけて来て、ゴロンと転がってくる息子を左足で止めた。
そう言えば、息子がやや喋り始めた頃に、
夕方、突然息子が震えだして泣きだして、わたしにかじりつきながら、「なんか来る!なんか来る!」と、言ってパニックになった。階段から誰かが来るって事らしかった。
わたしは、あれが金縛りというものなか、起き上がる事ができなくて、外はどんどん暗くなって灯りも点けられず、どうにもならず……その後、どうなったのか思いだけない。
たぶん、息子に子機を持って来させて、母に電話したんだと思う。それだけは記憶にある。
あの階段は13段だった。なんだか気持ち悪いと思いながら、数えないようにしようと思いつつ上がり下りしてた。
息子が小学生になった頃、ふと言ったのは、あの家の大きな窓の角の壁のところがいつも暗くて怖くて積み木を投げていた、と。
やっぱり、誰か居たのかな。
そんなことぜったい言うはずもないキャラの夫が、「夜中になると台所を誰か歩いているような気配がする」とも言ってた事があった。
誰か居たな。
でも、家族の誰も怪我すること無く過ごせたんだから、悪い人じゃなかったと思う。
10/3/2025, 11:47:08 AM