薄暗くて、少し肌寒い教会内。
皆、神様に向けて祈っている。
「神様はいつも皆さんのことを見て下さっている。祈り続ければ、神様から幸福を与えて下さるでしょう」
教会の会長が、皆の前で言った。
そっか……こんな私でも、神様は見てくれているんだ。
沢山祈って、幸福を頂こう。
……また会社でいじめを受けた。
課長は見てみぬふりをしていて、助けてくれない。
でも大丈夫、神様が助けてくれるから。
お金は必要だから、毎日頑張って耐えながら会社へ行っている。
両親が行っていたバス旅行のバスが交通事故に遭い、お母さんとお父さんが死んでしまった。
私、ひとりぼっちになっちゃった……。
でも、大丈夫……神様が助けてくれる。
この日から、毎日が辛い。
信用していた彼氏が私の貯金を全て下ろして、姿を消してしまった。
大丈夫、神様が……。
「教会へ支払う金がないだと?そんな者に神様を祈る権利はない。出ていきなさい」
会長から冷たい言葉を浴び、教会から追い出されてしまった。
……そっか、最初から神様は私を見ていなかったんだ。
だからこんなに辛いことばかり起きたんだね。
ひどいなぁ……神様。
教会の裏口からこっそり侵入し、ペットボトルに入れていたガソリンを床に垂らす。
ライターで火を点け、教会を燃やしてやった。
これで空にいる神様に、私の辛さが届くだろう……ふへへへへへ。
11/13/2025, 10:11:11 PM