「あ、泣いている子供がいる。」
夜遅くのテーマパーク。君は一体どこに行ったんだろう。
迷子の放送はない。どこに行けば良いのかわからない。右往左往してみようか。動けない。不安が鉛を持たせてくる。あんなに明るかったのに。いつの間にか影がたくさんある。あの「コ」がくれたおもちゃを片手に。歩き回りたい。
唇が醜い色になる。額には汗が。
やっとの思いで歩き出しても、足がもたつく。あっという間に転んでしまった。痛い。苦しい。悔しい。そんな言葉が頭に羅列した。その瞬間にはもう遅かった。
しょっぱい。口からは声が止まらない。みんなが見てくる。怖い。怖いの。
そんなことが起きた。それのせいで咽喉がまるで砂漠のようだ。水が欲しい。そう思って、口を開けると草が生い茂った。「あめ」だ。あゝ、ありがとう。そのためにくれたんだ。ある分だけ口に入れた。この「あめ」はずっとこのままでいれば良いのに。
あの人がくれたのは、ボタンを押したら飴がでてくる仕組みのお菓子。それと、喉の渇きもしょっぱくなった口も癒してくれる。「あめ」を2つも口に入れるなんて思わなかった。
みんなが上にいる。ぼくも、早く大人になりたいな。見上げると目にあめが入ってきた。
雨と飴
5/25/2024, 11:36:16 AM