「そうか、この景色こそが宝だったのか! んなわけあるかー!!」
私は空になった水筒を地面に叩きつけた。
「何が楽しくてこんな砂漠のど真ん中まで来なくちゃいけないんだ!」
「だって、ボスが行けって。行って宝の地図が本物か確かめてこいって」
「分かっとるわ! いたわ私もその場に! 行くよ? そりゃ今まであっちへ行けこっちへ行けって駆り出されてきたけどこんなのって! こんなのってあんまりだよ!!」
気弱なミーミは、耳をしょぼんと垂らして、
「でも仕事だもん。仕事しなきゃボクたちなんて居場所ないんだもん。ボクたちガラクタができる仕事なんて、これくらいしかないんだもん」
「そうだけどさ……」
疲れてしゃがみこむと、膝のネジが軋んだ。こんな体じゃなきゃ、こんな世界の果てまで来られなかった。見捨てられたガラクタだからできる仕事。だけど。
「こんなに」
沈みゆく太陽が、私とミーミの影を長く伸ばす。
世界の果てから風が吹き、生き物のように砂紋が動く。
私の足元で、何かが光った。
「……うん?」
かき分けてみると、それは銀色の小さな箱で。
胸の高鳴りと共に、さらに掘って箱を取り出す。
「これって」
ミーミと顔を見合わせてから、私はゆっくりと箱を開けた。
【お題:旅路の果てに】
2/1/2024, 8:41:44 AM