ももく

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 おれになくて、あいつにあるものとは何だろうか。

 そんな疑問が一瞬浮かび、そして自嘲と共に消える。

 そんなものは、おれがよく知っている。あいつは、おれのように卑屈ではないし、まっすぐだ。
 あいつになくて、おれにあるものも、いくらかはあると思う。が、それでもおれはあいつの眩しさを羨ましいと思う。と同時に、憎らしくも思う。

 それでも、おれは⸺おれも、あいつの眩しさに惹かれているのだ。おれが隣で影になればなるほど、あいつは輝くのではないか、それは素晴らしいことではないかとすら思う。
 
 俺があいつとつるむほど、君はあいつに惹かれるのだろう。
 君は気づくだろうか、俺と同じだと言うことを。


『もしも君が』

6/14/2025, 10:50:06 AM