"sweet memories"
昔から食べ物を貰う事が多かった。
和洋問わず、老若男女問わず。
飴やチョコレート、お煎餅といったお菓子系統から、おにぎりやパン等の主食系、惣菜系、畑で獲れた野菜や果物なんかもよく貰った。
そんなに食に困っているように見えたのかねぇ。
まぁそれほど食べる方ではないから大部分はそのまま横流ししていたけど。
貰ったものは全て検閲(祖父母)を通すようにと厳命されていた。問題がありそうな物は自分で判断出来る、と言ってもそこは頑として譲ってくれなかった。
食べ物をくれてもそれが良い人とは限らないよ、と。
簡単に懐いてついて行ったら駄目だからね、と。
祖父母からはいつも、何歳児だというような注意を懇々とされていた。
食べ物を貰う僕を、"餌付けされてる…"と表現したのは貴女だ。
僕をじっと眺めた貴女は、うむ、と重々しく頷いて、
"君は餌付けしたくなる雰囲気を醸し出しているからなぁ"と語った。
どんな雰囲気だよ。
最初期、貴女も事あるごとに飴を渡してきたこと、忘れてないんだからな。
渋い顔をする僕に、貴女は手元のケーキを一欠片差し出す。パクリと頬張ると、
"わたしの餌付けは成功したようだ"と、貴女はにんまり笑ってそう言った。
5/2/2025, 11:25:13 PM