ゼロ

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強くもなく弱くもない
一定の強さを保って長い間降っている雨
傘をさして周りを見る
傘を忘れたのか鞄を頭の上に持って走る人
レインコートを着て長靴を履いて恐れを知らず水溜りで遊ぶ子供
雨の日にしか見れない光景が好きだった
雨の日は昔のことを思い出す
十数年前。まだ子供の時。
とある人に会った
雨が降り出してしまい公園で遊んでいた私は急いで家に帰る途中だった
道端に男が座り込んでいた 今考えれば怖すぎるし無視するべきだ ただその時は幼く、興味だけで話しかけた 数回話しかけたが俯き何も喋らずただ雨にうたれていた 流石に反応が無さすぎて興味より不安や怖さが出てくる その気持ちに比例して次第に声が大きくなった
無視できなくなったんだろう
顔を上げて鬱陶しそうに私を見る
「おじさん何してるの〜?風邪ひいちゃうよ?」
「…君こそ風邪ひくぞ早くお家に帰りな」
「おじさんは?帰らないの?」
また黙り込んでしまった。
雨も強くなり門限も近づいている
家はそこまで遠くない 私はおじさんに傘を無理やり渡して走った おじさんはびっくりしたのか何か言っていたが雨の音と遠さにかき消された

数日たった日同じ道を通ると「ありがとう」と書かれた紙と渡した傘がおじさんのいた場所にあった
それが最後かと思った だが1ヶ月に1度のペースで道に座り込んでいる それも決まって雨の日だ そんなのがずっと続いた 終いには連絡先すら交換したくらいだ そのくらい仲が良くなった 

今日は雨が降っている
でも今日はあの道を通る必要はない なぜなら今日はカフェに行く約束をしているから 
「遅いよ!おじさん!」
「少し遅れただけだろ〜?許してくれ」
「まぁいいけどさ〜…ずっと聞きたかったんだけど何でおじさんと会う時、毎回雨の日なの?」
「さあな俺も疑問には思ってるさ」
「でも雨が降ると君に会えるから俺は好きだ」

雨と君

9/7/2025, 3:28:43 PM