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 君が悲しんでいる時は、涙で袖が濡れないように俺の胸で泣けばいい。痛むと言うなら原因を探りだし心に刺さった棘を抜いてみせよう。君がひとりになりたいと望むなら、そっと離れて悲しみの波がひくのを待つことだって。
 
 あまり長いと俺が寂しくなるから出来れば近くにいさせてくれ。
 落ち着いた頃にはお腹が空いているだろうから、軽食を食べてゆっくり休もうか。

 時々、何も言わずに溜め込んでしまう君の悪い癖。心身の疲労は君を蝕んで陰が増えていく。どんな表情も好きだと豪語する俺も悲しみを孕む涙には弱い。それなら別の、分かち合えるような涙がいい。

「強く擦りすぎだよ…」

 赤く腫れた君の目もとを冷やす。『誰よりも』君の幸せを願っているのに全ては拭いされない歯痒さは、今もなお慣れることはなかった。

2/17/2023, 3:36:36 AM