題名:セーター
私はセーターが苦手だ。
チクチクするし、洗濯すると縮むから洗うのも面倒臭い。
之は母が不器用な手で一生懸命に私にと編んでくれた
セーターだ其れが苦手だ。
私は思春期と云うのも相まって少し、否、かなり周りの人間との距離を取っていた。
其れでも母は私を喜ばそうと、此のセーターを編んでくれた
母は身体が弱い。だから入院が常だ。
自分の事でいっぱいいっぱいの筈なのに何故か私にセーターを編んでくれた。
今はもう居ない母。病気で数年前亡くなった。
私は此のセーターを見る度に思い出す。
母が日に日にと衰弱していく様や
柩に入った時の穏やかな表情、
そして何時も皆に見せる明るい笑顔
だから嫌いだ、此のセーターは。
見る度に涙が溢れてくる。
嫌でも母を思い出してしまう。
大好きな母が編んでくれたセーター
もう小さくて着れなくなったセーターが…。
私の心を抉る。
11/24/2023, 3:45:35 PM