ありす。

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「東京にいこう!私たちの夢を叶えにさ」

誰も知らない誰もわからない片田舎のアパートの一室。
中学が同じだったわけじゃない。
高校が同じだったわけじゃない。
友達の友達。共通の友達みんなで1.2回遊んだ共通点のない2人。

「いいね。東京か。夢はでかくだよね」

そんな共通点がない2人だったのに。

「どうせいつかは東京に行くんだし!それが遅いか早いかだけの話し!」

多分、2人は出会わなければ終わるはずだった夢。
共通点のある夢じゃない。
でも、2人で高め合えることが出来る夢。

そう、決意して1年。


「今、出来ることしているんだ。あっちの学校に行ったら私よりも年下の子達がいて私は年齢的にも厳しいから…だから今、出来ることしているんだ」

「私たちは頑張っているよ」

深夜2時。
内緒で停めた第2駐車場の車内で2人して語った夢。
車内から見える真っ黒で星もない空だけが私たちの共通点だった。

「あっちに行ったら何したい?」

「まずは、1ヶ月間の中で何も無い日を2人で1日は作る。その日にアニメ観たりゲームしたり…」

「ゲームはめっちゃしたい!」

「そういえば、この間のゲームプレイ時間290時間以上になってたよ」

「まじか…。いつの間にそんなにしてたんだろう」

ただの夢の話。
その夢の話をする時間が楽しかった。
今はまだ夢でしかないけどそれがあったから私は頑張れた。

あと、上京まで半年。

大切な人を亡くした今。
社会の常識に囚われた今。

「ごめん。難しいかも…どうすればいいんかな。意気地無しでごめん」

初めて聞いたその言葉。
私がいつも言っていた言葉を君が言ったから。
人間、完璧な人はいない。
今、私たちは…私たちの夢はもう夢のままじゃない。
何も知らずにいたあの頃のままじゃない。
2人で語っていたあの日のままじゃない。

「謝らなくていいよ。私もごめん。今から会う?」

深夜2時。
私たちは何も変わらない。
2人で会う時間もこの車内の心地良さも。

「でも這いつくばってでも行きたいよ。2人で叶えるって決めたから。2人で隣に立って見たい景色があるから」

「私たちの心は何も変わってない?」

私たちはもう後戻りはできない。

「変わったことがあるなら尚更、夢を叶えなきゃって思ったけど?」

私たちの夢は、3年前に捨てたはずの夢達だ。
私の心の中で消えるはずだった夢。

頑張れとは言わない。
夢の話をすればみんな良いように言う。諦めろと言う。なれないという。なれなかった時どうやってお金を稼ぐの?という。

知っている。
お金が大切なことも諦めろと言う理由も全部全部知ってる。
ただの夢の話をしている時が心地いい理由も知っている。
でも、それすらも凌駕するほどの夢を生きる目標にしている事も知っている。

だから今、夢を追いかけているあなた。
夢を見たらもう後戻りはできない。
私の心が、あなたの心が1番わかっているはずだ。

3/28/2024, 1:51:34 AM