題 花の香りと共に
『ふわっ』と鼻腔をくすぐるこの香りは彼に手向けられた花の香りだろう。彼がここにきた時は必ず花を持ってきてくれる。今の私は花が好きだと言った覚えはない。
白衣の着た人から『記憶喪失ですね』告げられ、実感がわかず、ただボッーと他人のことのように聞いていた。
自分が分からない。姿も声音も思考も私なのに自分ではないような気がして、怖かった。
そんな時にあったのが彼だった。彼と一緒にいると心地がいい。私の知らない私を教えてくれた。彼が持ってきた花の名前を覚えるのが、どんな花を持ってきてくれるのかが最近の私の趣味だ。今まで彼が私にくれた花は
スターチス、ミモザ、バーデンベルギア、ブライダルベール、パンジーなどだ。
___________________ 花言葉 __________________
スターチス 永遠に変わらない愛、変わらぬ心、途絶え
ぬ記憶。
ミモザ 優雅、友情、エレガンス感謝、思いやり、秘密
の恋。
バーデンベルギア 運命的な出会い、出会えてよかっ
た、思いやり、壮麗、広い心。
ブライダルベール 幸福、願い続ける、花嫁の幸福、鮮
やかな人。
パンジー 思い、心の平和。
3/16/2025, 11:35:46 AM