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「スリル」

急遽、A組に転校生がやってくることになりました。

レオです。
よろしくお願いします。

ちょうどミロさんの隣が空いてるから、あの後ろの端の席を使って。
周りの人は助けてあげてくださいね。


隣の席の女子に会釈して座る。
転校生なんて人生で初めてだったから、とても緊張する。
…うまくやれるだろうか。

ねぇ、と声が聞こえて隣を見るといつの間にか僕はクラスメイトに囲まれていた。

どこから来たの?
転校生なんて珍しいよね。
前の学校はどんな感じだったの?

突然な質問攻めに驚いて答えられずに困惑していると、急に隣の女子がパンと大きく手を叩いた。

ひとまず今日の放課後は転校生歓迎会を開催しよーっ!


こういう集まりは苦手だ。
しかし、断るのも僕には難しい。
結局、周囲の「当然、来るよね?」という圧に押し負けて現在はカラオケにいる。

転校する前は友達ができないことを心配していたけど、そんな心配は不要だったみたいでクラスメイト全員仲が良く、むしろ僕の暗さが足手まといになるのでは、と見てて思った。

「転校生くん、次何歌うー?」
カラオケにあまり行ったことがないと言うと連チャンで歌を歌わせてくれたけど、もう喉が限界。
空になったからドリンク取りに行ってくる、と言って部屋の外へ出た。

メロンソーダのボタンを長押ししていると、
「疲れてない?大丈夫?」と声を掛けられた。
青いフレームのメガネが印象的な彼女は少し困ったように笑った。
「エイルだよ。分かんないことや困ってることがあったらいつでも呼んでね」
そう言って彼女はまた部屋へと戻っていった。

ドリンクを持って部屋に戻ろうと歩いていた時、左側から来る人に気づかなくて思い切り衝突し、その反動で思い切り飲み物をぶちまけてしまった。
メロンソーダでベタベタになった彼女は隣の席の、確かミロって名前…
「もうちゃんと前見てよねっ!私だったから良かったけどっ」
「ごめん、気づかなくて。制服、クリーニングに出すよ」
「あー大丈夫。家が近いからすぐ着替えられるよ」
「でも」

大丈夫、大丈夫と言って彼女は先に帰ってしまった。
初日から早々にやらかしてこれから大丈夫だろうか。


11/13/2024, 8:31:35 AM