自鳴琴

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夢を見ていた。

早朝から降り続く雨のせいか、
窓から吹き抜ける風は少し肌寒い。

教室のガヤガヤした雰囲気と共に
微睡んでいた意識が現実へと引き戻される。

なんだか愉快な夢を見ていた気もするが、
深いどん底へ突き落とされる夢だった気もする。

つい先程まで覚えていた筈のそれは
あちこちから聞こえてくる声によって霞んでしまう。

なんとも腑に落ちない。

すると次第に
お日様の匂いが鼻を掠め、
開けた雨雲から晴れ間が覗き始めた。

暖かくて 柔らかい
いつか遠い日の記憶を遡るような

そんな空気に包まれながら


再び机に突っ伏していた。


『真昼の夢』

7/16/2025, 2:30:45 PM