さよならは言わないで
貴方が私に寄り添う理由を、
私は気付いてた。
恋人が戻らない、寂しさを、
私で埋めようとしているんだ、って。
それでも、私は構わなかった。
一時の止まり木でしかないと、
分かっていても、
今の貴方に必要なのが、
この腕の温もりならば。
だけど、何時からか。
貴方は、私の温もりを、
求めなくなった。
気がつけば、
貴方の隣には彼が戻ってた。
その、彼の背格好や仕草は、
どこか、私に似ていた。
その事が、私の心を締め付けた。
さよならは言わないで。
これから…貴方はもう、
私の胸で泣く事も、
この腕で眠る事も、
ないだろうけれど。
それでも。
さよならは言わないで。
私たちの別れには、
もっと柔らかな言葉が、
似合う筈だから。
笑って――言って。
『じゃあ、またね。』
12/4/2024, 7:50:53 AM