小絲さなこ

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「二十一時ちょうど。新宿発」


色とりどりの街の灯りを見ると「帰ってきたなぁ」と思う。それは、私がこの街で育ったから。それだけ。

キラキラしているように見えて、ギラギラ。
眩しくて、眩しくて、めまいがしそうになる。

この狭い地域にこんなにも色々な人々や様々なものが詰め込まれているかと思うと、気が遠くなる。


新宿発の特急あずさ。
最終は二十一時。


「次はいつ帰ってくるの?」という、友人からのメッセージの返信に困る。
帰省する頻度は少なく、間隔も開きつつあるから。

夜景なんて、人々が生活していれば何処でだって見ることができる。

疎になってゆく光をぼんやりと眺めながら、そんなことを考えて、結論を出す。

都会で生まれ育ったからといって、都会が合うかどうかは別問題だ。
私には、生まれ育ったこの街が合わなかった。ただ、それだけなのだろう。



────夜景

9/18/2024, 3:42:27 PM