kiss
メイク中にふと中学生の頃に見た物語を思い出した。
――醜い野獣の姿にされた王子の呪いは、魔法のバラが枯れるまでに誰かを愛し愛されなければ解くことができない。
そんなの無理だと思いながら見ていたが、物語はハッピーエンドを迎えた。
幸せそうに唇を重ねる二人にその年頃が抱くであろう恥ずかしさより、見た目じゃなく心を好きになって触れ合える様を羨ましく感じたのを鮮明に覚えている。
私はメイクが好きだ。私に自信を持たせてくれるから。泣いていた私に背筋を伸ばす力を与えてくれたから。
「……もしも魔法で綺麗になってた場合、どうなるのかな」
馬鹿らしい。とすぐにその思考を止めてお気に入りのティントを手に取り、唇を彩る。
私は今日も私に魔法をかけて生きていく。
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加筆修正したものを再度上げさせていただきました。
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作中に例えに出させて頂いた物語の内容に間違いがあったため下げます。申し訳ございません。
ですが、書いたものに反応くださりありがとうございました。今後は気をつけます。
日々家
2/4/2024, 12:35:13 PM