こねこ
ちょっと雨が降りそう、そんな昼下がり。
柳谷邸の門が静かに開かれた。
「なぁ少年、野良猫保護したんだけどこの辺動物病院とかある?」
大変申し訳ない、と顔に書かれた矢車殿が申し訳なさそうに玄関で立ち往生。珍しい。いつもは普通にずかずか上がるのに。
陰陽師専用宿屋みたいなところあるからなここ。
しかしこの人がこんなに恐る恐る、ってのは本当に珍しい。
何かあるのかと思えば矢車殿の着物の袖のところ(袂って言うらしい)からもぞもぞと顔を出す白い毛玉の生き物。
「エッ何うわっちっっさ!!!子猫じゃん!!」
「河川敷で見つけてよ……悪い、本当は寄らないつもりだったんだが」
「何で?こないだスマホ忘れてったの矢車殿だろ?取りに来たんじゃないの?」
「そうだよスマホ取りに来たんだよ。この辺詳しいつもりだけど流石に知らない場所にスマホなしでは行けねーわ」
「忘れ物入れにあるから取ってきてあげようか?猫ちゃん抱いたまんまじゃやり辛いでしょ」
「頼む、誰にも見つからないうちに早く」
「マジで珍しいことづくめじゃん、何?なんかあんの?」
「良いから早く持ってこいスマホ!お菓子買ってやるから」
「何歳児用のお願いだよそれ。」
かひつします
11/15/2024, 12:47:57 PM