力の限り、勇者が剣を振るった。
王座にふんぞり返って「土産」を見ていた傲慢な王の首を勇者が刎ね飛ばした。
その首が冷たい石の床に跳ね、共に落ちた豪奢な王冠の金属音が止むまで、王の家族は疎か王を守る近衛兵ですらもガーゴイルのように固まっていた。
それだけの時があれば、こちらの要件は済む。
手始めに私達を召喚した術士を虫けらに変えてやり、瓶詰めにしてやった。
数多の魔物を屠ってきた私達『生き残り』の勇者一行にとって近衛兵達はスライムと同等、固まったままの彼等をまとめて刻めば漸く王の家族が騒ぎ出す。
身重の身体で逃げようとする后の両足を戦士がハンマーで潰し、二人の王子と王女の足も同様にしていく。
これも私達が世界に帰る為だ。
手早く描いた魔法陣の中に王の家族と瓶、それから「土産」である魔王の死体を放り込めば、魔法陣の赤黒い線がオーロラのように青く輝きだした。
やっと帰れる。
心底嬉しそうな安堵の表情を浮かべた勇者達と顔を見合わせて、一歩また一歩と魔法陣へ近づいて。
ふと見た魔王の顔、一瞬だけだが口角が上がったような気がした。
テーマ「終わりにしよう」
7/15/2024, 4:19:14 PM