白燈

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カーテン


月明かりが、射し込んでいた。
ガラス戸は僅かに開いていて、閉じたカーテンは隙間から流れ込む、秋の風に揺れている。
私は肌寒さを覚え、ベッドから這い出ると、手を伸ばし、ガラス戸を閉じた。
真夜中の、秋の日。
私は立ち上がり、ガラス戸越しに月を見上げる。
煌々と光を放つ満月に、心を奪われ、しばし立ち尽くす。
日々の喧騒のなかで、忘れてしまっていた自然への郷愁に、心が澄んでいくを感じた。
明日もまた、街の人々のなかに呑まれていかなければならない。
私はベッドに戻り、横になる。
再び襲う微睡のなか、月の明かりだけが意識の境で澄んだ光を放っていた。

10/11/2024, 4:43:23 PM