りおち

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厚化粧をした雲を、私は「白い」と言った。
磨き抜かれた空を、私は「青い」と言った。

けれど、山の名前は呼べなかった。
空よりも、雲よりも低く、いつも私たちの傍で献身的に季節を支えている、あの穏やかな色の名前を、どう呼べば良いのだろう。

青い山。これはダメだ。空や海の安い真似事でしかない。
相応しい言葉を探すため、私は山を見つめ続けた。

見つめすぎて、照れてしまったのだろうか。
山は次第に、その身を赤らめてしまった。

8/12/2025, 8:49:51 PM