日の入り前の黄昏時
日が昇る寸前の夜明け前
水でいっぱいの瓶を逆さにして蓋を取る
中の水が勢いよく流れて行く
底の穴から
螺旋を描いて
影絵を見る時
影を浮かび上がらせる光の存在を思い出す
そのように今、午前中の光を感じながら
夜の暗さを思い出してみようとする
昼の明るい空間の中に
黒い闇の粒々がびっしり浮かんでいる
私は床に穴を拵えて
両手に渾身の力を込めて
その栓を抜く
せーの!
するとその黒い粒々たちは
その底穴から勢いよく流れてく
二重の螺旋を描きながら
それと同時に私は見る
大量の光がなだれ込んで来るところを
部屋が光でいっぱいになり
天井ギリギリまで押し上げられ
屋根を抜けて
雲を抜けて
大気圏を抜けて
月まで
あの星の
そのまた向こうのさらに奥の奥まで
広がっていく
日の入り前の黄昏時
日が昇る寸前の夜明け前
それは
限界まで満ちたものが破裂するように抜けていく
それを思い出す
楽しいひととき
10/2/2023, 2:05:08 AM