Alan.Smithee☆彡

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『呪文名:ココロオドル』



「ココロオドル1:この呪文は、相手の『魂』の善悪を判定して裁くことができるんだミュ。
失敗すると、きみの約16日分の生命力を削るけど…。
まあ、魔法少女に多少の犠牲はつきものなんだミュ」


 見たこともない生命体が、なんか好き勝手に言っている。
道端に落ちていた、ステッキを拾ったのがいけなかった。
小さな子どもが喜びそうな、きらびやかな装飾が施されているもんだから。
妹に見せたら喜ぶかな、なんて思ってしまったんだ。


「ココロオドル2:この呪文は、『時間』を2AWP/だけ進めてくれるんだミュ。
対価に、きみのこれからの行動すべてに不運が作用してくるけど…。
魔法少女に選ばれた時点で、世界の不幸を担うのだから、些末なものなんだミュ」

 
 未確認畜生が、なんかわけのわからない単位みたいな言葉も交えてのたもう。
これ見よがしに落ちていたステッキだった。
それこそが、そもそもの罠だったのかもしれない。


「ココロオドル3:この呪文は、『愛』を05倍だけ強くーーー」


まだ続きそうな理解できない説明を、挙手で遮る。
「魔法少女自体を辞退する呪文はあるの?」と。


「あるミュ。その呪文のせいで僕らの世界では、深刻な魔法少女不足に陥っているんだミュ。
『リリカル』なんて簡単な呪文じゃなくて、もっと難解で言葉で表しくいものに変えるべきだミュ」


私は間髪いれずに唱える、「リリカル」と。
その瞬間、目の前から不条理を言い渡してくる物体Xは消え、ついでにステッキもなくなった。


やれやれ、ひどい目に合うところだった。
これで、魔法少女にならずにすんだのだ。
なんだかんだ言って、普通の人間が一番いいんだから。





2024.10.10

10/10/2024, 5:08:27 AM