ミミッキュ

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"赤い糸"

 物資を受け取り、帰宅の為街の通りを歩いていく。
 通りに面した店の前には、涼しさを感じさせるアイテムや色柄物が置いてあり、夏なのだと視覚で感じる。
「あっ」
 おもむろに声を上げ、その場で立ち止まる。
──そういえば、帰りに糸買うんだった。
 今朝、散歩中にハナのハーネスが低木に引っ掛かりほつれてしまったのを思い出した。
 散歩から帰った後、直そうと裁縫セットを出したが赤色の糸が無く、他の色を使おうにも赤色の部分なので他の色だと変に浮いてしまう。物資を受け取った帰りに買いに行こうと考えていた。
──ここで思い出して良かった……。
 足の向きを変え、手芸店に入る。
──あったあった。
 糸が置いてある棚の前に真っ直ぐ行き、目当ての赤色の糸を手に取った。
 念の為、白、黒、青色の糸も手に取って会計を済ませる。
「さて、早く帰って直さねぇと。裁縫やる時間無くなる」
 買った糸が入った小さな紙袋をリュックのポケットに入れ、早足で帰路に着いた。

6/30/2024, 12:03:23 PM