無気力

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「本日はお忙しい中、取材をお受けいただきありがとうございます」
「いえ、大したお話はできませんがよろしくお願いいたします」
「よろしくお願いいたします。早速ですが、お部屋が広くて、とても明るいですね」
「そうなんです。主人のこだわりで、光の入り方に合わせた内装をしてますの」
「そうでしたか。お庭も綺麗ですね」
「ええ、庭の方は私の自由にさせてもらっているの―――」

――――――





「いやぁ、本当に素敵なご夫婦ですね。最後に、夫婦円満の秘訣も伺ってよろしいでしょうか」
「うーん、秘訣と言えるかわかりませんが、主人からもらったものはどんなものでも大事に保管しておりますの」
「ええっ、ご結婚されてから全部ですか」
「いえ、付き合いはじめてからですわ。ご覧になります?」
「それは是非」


「こちらです。この一室にあるものは全て主人からもらったものですの」
「こんなに沢山…。このカップは?」
「主人とデートで食べたアイスのカップですわ」
「この紙は」
「連絡先を書いてくれたメモですわ」
「すごいですね…。綺麗に整頓されてますし…。えっ?この瓶に入っているのは…」
「主人がくれた1番大切なものですわ。もっと大きくなった姿は見られませんでしたが、こうしていつまでも3人でいられますのよ」
「えっ…」
「ここにいたのかい」
「あら、あなた、おかえりなさい」
「ただいま。おや、お客さんかな。こんにちは」
「こっ、こんにちは」
「それは…」
「ええ、あなたからのプレゼントをお見せしていましたの」
「そうだったんだね。ちょうど今日もプレゼントを買ってきたんだ。下にあるから見に来てくれるかい。」
「あら、嬉しい。何かしら」

「………えっと、あなたは取材に来たのだったかな。」
「あっ、はいっ、そうです」
「彼女変わっているだろう?それは僕がハロウィンに驚かそうと買ってきたものなんだ。わかるね?」
「はっ、はいっ。本日はこれで失礼いたします。あっ、あっ、ありがとうございました」

『たくさんの想い出』

11/18/2022, 12:20:04 PM