時の階段をのぼり詰めると、誰かと出会える気がしてくるそうですが、
今回のお題は、階段ではなく糸とのこと。
時を繋ぐ糸で、こんなおはなしをご用意しました。
「ここ」ではないどこか、別の世界に、「世界線管理局」なる厨二ふぁんたじー組織がありまして、
ちょうど、つい最近まで、今年度のボーナス予算をかけたバトロワ祭りが開催されておりました。
優勝したのは、いろんな世界から回収してきたチートアイテムを、安全に収蔵している部署。
収蔵部の、収蔵課という部署でした。
その中でもイチバンの功労者、MVP局員のビジネスネームを、ドワーフホトといいました。
「んん〜、悩ましい、悩ましいよぉ」
一気にドカンとほぼ3年分の予算ほどの金額が、収蔵部の収蔵課に入りましたので、
あれ直そう、これ入れよう、そこ増築しよう、
余った予算は収蔵部内で共有しようと、
もはや、祭りの二次会状態です。
「この際だからぁ、あたしの収蔵庫、広範囲デジタルアバター投影装置、導入しちゃうよぉー!」
あれも欲しい、これも欲しい!
収蔵課保有の予算残高の、チート同然とも言うべき額を、タブレットで見ては幸福に……
笑っておった、ドワーフホトですが。
「……あれぇ」
なんということでしょう。
ドワーフホトが見ているそのリアルタイムに、
じゃんじゃか、どんどん!
一気に残高が減っていくではありませんか!
「おかしいなぁ。収蔵部の、別部署かなぁ……?」
ここからがお題回収。
というのもドワーフホト、予算獲得祭りの中で、
祭り会場の一角をバッキバキに破壊しまして。
その修理費用が今まさに、請求され、受理されて、
キッチリ引かれている最中なのでした。
「収蔵部収蔵課から修理費、入りました」
ドワーフホトが壊したあっちこっちを、せっせこ御安全に回復工事しておるのが、
環境整備部の、工事施工課でした。
「では、始めましょう。
安全第一、ゼロ災、ゼロハラ!ヨイカ!」
「安全第一ゼロ災ゼロハラ!ヨシ!」
せっせこせっせこ。
工事施工課の局員の数人が、同じ環境整備部の難民支援課や空間管理課の局員と一緒に、
お題の「時を繋ぐ糸」でもって、
時を繋ぐ布を編みます。
「ほいきた!1枚目!」
「はい、貰っていきます」
「じゃんじゃん織るからじゃんじゃん持ってって」
「2枚目貰っていきます」
世界線管理局に「時を繋ぐ糸」は何種類も収蔵されており、それぞれ効果が違いますが、
回復工事に使われている「この」時を繋ぐ糸に触れたものは、壊れた塀や陥没した道路等々の、
現状と過去の、時を繋いで、
結果として元通りに戻してくれるのでした。
ただドチャクソに高価でして……
11/27/2025, 9:58:11 AM