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 人の考えなんざころりと変わるものだ。
 数分前は、「夕飯はカレーがいいね」と言ってたのに、「やっぱお寿司にしようか」なんて言うんだもの。
だから、その何倍もの時間をかけたらもっと簡単に変わってしまう。

 誰だってそうなんだ。たとえ、君であっても。

「だからね。そんな先の約束なんて守れっこないよ」
“来年の今日にまた此処で会えたら結婚してよ”
 そんな馬鹿みたいな冗談を言う君に僕は嫌味ったらしくそう吐き捨てた。だけど、君はいつものようにニヤリと笑ったんだ。
「分かった。じゃあ、逢えたら絶対約束守ってね」
 得意げに笑った君を僕は心の底で見下してたんだ。
 絶対に僕のことなんか忘れるくせにと。

 ────そして、今日は。

「ほらね。私、約束は守るんだから」

 少しだけ大人びた君が、あの日と変わらない笑顔を向けて僕の前に立っていた。

《一年後》

5/8/2023, 1:50:26 PM