--僕だけが彼女の秘密を知っている!
高揚感と優越感と同時に僕の頭を占めたのは、心臓がバクバクと鳴るほどの、大きな大きな支配欲だった。
同じクラスで学年一の美少女の彼女はいつも注目の的だった。
文武両道、才色兼備、おまけに容姿端麗。
しかも素直で優しい性格の持ち主で、まさに絵に描いたような美少女だった。
そんな彼女と僕の接点など、クラスメイトということだけだった。
この瞬間までは。
別に彼女の秘密を暴こうとしていたわけじゃない。なんなら僕だってできるなら知りたくなかった。
ではなぜそんな僕が彼女の秘密を知ってしまったのかといえば、それは偶然と呼ばざるを得ない。
今日僕が偶然、体育倉庫(今日が掃除当番だった)に忘れ物をして。
僕が偶然、体育委員(本当は嫌だったけど押し付けられた)で。
体育委員権限で鍵を借りて、その忘れ物を取りに行こうと思わなければ--その現場を見てしまうことはなかったのだから。
ではその現場で何が起こっていたのか。
それは逢引きだった。
だが彼女の相手は僕たちが通う中学の教師だった。
ヤバすぎる。
先生と生徒というのももちろんヤバいが、大人が子供と恋愛をしてるっていうのもめちゃくちゃヤバい。
でもそれを見て僕の中に湧いてきたのは気持ち悪いとか、早く誰かに言わなきゃとかいう正義感でもなく、高揚感と優越感、そして支配欲だった。
あのきれいで美しくて、いつも優しいあの子がこんな秘密を隠していたなんて!
この秘密を知っているのは彼女と先生以外には、僕だけなんだと、そう思ったらもう興奮が収まらなかった。
よし、この秘密はもうちょっとだけ言わないでおいてあげよう。
だってせっかく僕と彼女の共通の秘密ができたんだから。
7/18/2023, 4:50:09 PM