たろ

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【霜降る朝】

「…かっちゃん!来て!凄いよ、外!」
足音も賑やかに飛び込んで来るあなたを何事かと、自室に迎え入れた。
「おはよう。どうしたの?」
これは外に出る流れかと予測して、厚めの上着を掴んだ。
「はつもの!」
厚着を選んでいて良かったと内心ホッとしつつ、元気なあなたの手に引かれるまま、ついて行く。

玄関で、雨の日用の靴に履き替えて、外へ出て行くと、霜柱がキラキラと立ち上がっていた。
「はつしも!かっちゃん、踏むよ!」
無邪気にはしゃぐあなたの靴が、地表を押し上げる霜柱を踏みしめていく。
「すごい音!」
バリバリと音を立てながら、あなたの足がステップを踏む。
「かっちゃんも!」
そっと足を踏み出すと、サクサクとした感触が靴裏に響く。
ザクザクと踏み締める音を立てながら、あなたが戻ってくる。
「かっちゃん!あっち、まだ踏んでないから!行こう!」
あなたから差し伸べられた手を取ると、そのまま引っ張られてついて行く。
「凄い音…。」
童心に返ってはしゃぐあなたの背中が、ひどく楽しげで自分まで楽しくなってくる。

11/28/2025, 4:20:39 PM