悪魔が言った。
「俺と契約すればいいよ!そうすればなんでも自由さ!お前の望む、な。」
彼はニヤニヤ笑っていた。
すかさず天使が言った。
「彼奴の言葉に惑わされてはなりません。貴方は清廉潔白なお方だ。彼奴はただ貴方の魂を欲しているだけです。
契約等という言葉を信じるべきでは無い。」
私は迷った。だって、私が欲しているのは自由であり雁字搦めの縛りじゃない。それに、悪魔の方がイケメンだ。
天使は言う。
「貴方のようなお方の思考に悪魔なんぞがいるだけで貴方が穢れてしまう。嗚呼、早くわたくしめをお選びください。」
天使のくせに私を神のように扱っている。私は神ではない。天使でもない。
悪魔が耳元に来て、
「おいおい、お前が望んでるのはこんな天使じゃないだろぉ?もっとお前を甘やかしてどろどろに溶かしてくれるような俺なんだろ?早く俺を選べよ。」
煽るような口調だ。でもそんな所も良いと思ってしまう。こんな精神では悪魔に堕とされてしまう。でも、駄目でも彼がいいと思ってしまう私は既に手遅れだ。
どちらか1人を選ばなければならない。
私は決めた。
「悪魔、貴方と契約するわ。」
すると悪魔は一瞬驚いたようだが、私の言葉を飲み込むと
「お前なら俺を選んでくれると信じてたぜ♡マイダーリン♡」
……………………。
マイダーリン…?
「マ、マイダーリン…?」
「あぁ、そうだろ?♡契約したんだからもう俺とお前は離れられないぜ♡永遠にな♡」
目にハートを浮かべならそう言う悪魔は幸せそうな顔をしていた。
「早速魔界へ行こうか。ダーリンとしたいことなんて山ほどあるんだ♡」
私の手を引く悪魔。
チラッと天使を見てアイコンタクトで天使に助けを求めようとしたが、悪魔を選んだ私を天使は冷ややかに見ているだけだった。
天使を選んでいたらどうなっていたのだろうか。
後悔と言うより、好奇心。
『光と闇の狭間で』
12/2/2023, 10:49:25 AM