1人の少年が、とある墓地の前で手を合わせていた。
彼は俯いて、涙を溢していた。
言葉を発さずそのままの体勢で、暫くの時間が経った。
ふと、彼が言葉をこぼす。
「皆んなが幸せな世界って…どうすれば良いんだよ…」
自分の中では、納得がいっていないような表情をし、立ち上がる。
「叶えるから、絶対。」
切り替えるように、自分自身に聞かせたように、喋る。
突如、スマホの着信音が鞄の中から、聞こえてくる。
画面を見ると、友達の沢海からだった。
泣き声を聞かせないように、深呼吸をし、電話に出る。
「もしもし」
「もしもしぃ?風真?今どこ?」
「何処でも良いだろ。なんのようだ」
「丁度補習終わってさ、近くに居るならゲーセンでも一緒に行きたいなって。優人もいるぞ」
「そうか 近いから行く」
「お、OK〜じゃ待ってるわ」
電話を切り、学校に向かう。
涙を悟らせないように、いつもの表情を保つ。
お題『涙の理由』
10/10/2023, 11:13:39 AM