真空

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ミッドナイト

「こんばんは」
「…こんばんは」
午前0時24分
雪もちらつき髪も凍るような寒さの中で
今日もお隣さんが煙草を吸っていた
「寒くないんですか?」
「寒いですよ」
まあ、当たり前だろう
モコモコのセーターを着こんでコートを羽織っていても貫通するくらいには外は冷えている
「手足が凍りそう」
「中に入ったらいかがでしょう」
「でてきたばかりなのに」
すこしばかり拗ねた口調で返す
お隣さんはあきれたように煙を吐いた
「そもそもなんででてきたんですか、
寒いとわかりきっているのに」
「寝れないからしょうがないでしょう」
「またですか」
「そちらこそ、こんな寒いのによく外で煙草なんて吸えますね」
吐く息が白い
手足も冷えてきた
それでも部屋にはまだ戻る気が起きない
「好きなので」
プカプカと煙を浮かべながら
お隣さんは空を見上げた
私もつられて空を見た
空は雲に覆われて星どころか月も見えない
雪がチラチラと舞い落ちる
駐車場が真っ白だ
「私も好きです」
空も雪も寒さもこの時間も
「物好きなことで」
「そちらこそ」




【夜の雑談】

1/26/2023, 10:20:36 AM