鶯になりたかった鳩

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夕立がやってきて 靴下までびっしょりな

下校時間の 帰り道

傘なんてなくて なぜか走りたくなって 

足が速くなる靴の力を試したくなって

ランドセルをしっかりと背負い込み

ダッシュした

雨が 目に 入ってくる


排水溝のあみあみは

驚くほど滑り

ぼくは こけてしまった

顔に傷はつかなかったけど 

ぼくを守ろうとした手は少しすりむけていた

しばらく起き上がることができず

雨と、 汚い泥水が流れる音だけに包まれた


なぜ走りたくなったのかは

今ではわからない

そんな気は 起こらない今のぼく

傘という弱さを手にしたからなのか

大人になったからなのかは

わからない

10/12/2023, 12:44:47 PM