夕立がやってきて 靴下までびっしょりな
下校時間の 帰り道
傘なんてなくて なぜか走りたくなって
足が速くなる靴の力を試したくなって
ランドセルをしっかりと背負い込み
ダッシュした
雨が 目に 入ってくる
◇
排水溝のあみあみは
驚くほど滑り
ぼくは こけてしまった
顔に傷はつかなかったけど
ぼくを守ろうとした手は少しすりむけていた
しばらく起き上がることができず
雨と、 汚い泥水が流れる音だけに包まれた
◇
なぜ走りたくなったのかは
今ではわからない
そんな気は 起こらない今のぼく
傘という弱さを手にしたからなのか
大人になったからなのかは
わからない
10/12/2023, 12:44:47 PM