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永遠の約束

全力で走った。他の人のことなど考えられなかった。頭にあるのは膨れ上がる不安と焦燥する気持ちだけだ。目当ての番号の名札を探す。右奥にそれがあることがわかり急いで駆けた。両足の踵がジンジンする。突然の連絡だった。電話の奥の父は冷静だったがいつもより声が細かった。仕事場をすぐさま抜け出して病院に向かった。行ったことがなく調べるところからだった。電車では遠いことがわかりタクシーに乗った。
 ドアを開けると寝ている母の周りで父と妹が今にも泣きそうな顔でいた。

「お姉ちゃん……」

妹は涙が止まらないようで何度も手で拭っている。隣で父が母の手を握って祈るように目を瞑っている。今更ながらに私は死を実感した。

2/4/2025, 3:04:45 PM