静かな終わり
別れ際の事
孫が冬の青空の下金色の雨を降らせた
庭の紅葉は葉を全部落として足掛かりとなる幹と枝をくっきりと際だたせている
一歩ずつ慎重に足で探り木登りする様子は性格の現れ
3年前にジジババに抱え上げられながら怖いようーを連発していた彼女からその成長がはっきり見てとれる
「いいこと思いついた その枝とって」
百合の枯れ枝を指さしている
その上向きの蛍袋の様な花殻には薄っぺらいタネがぎっしりと詰まっている
背伸びして孫に手渡すとそれを片手にてっぺんまで登り枯れ枝の一番旗を高々と掲げた
彼女の背中にはあかあかとした陽が射している
「いくよー 見ててね」
左右に大きくその枝を振り始めると一斉に舞い上がる種
青空を背景にまるで蒔絵の金粉が撒かれたよう無邪気な孫の笑顔がぽっかり青空に浮かび上がって一枚の作品に見えた
「金色の雨みたい…キレイだったでしょう」
孫がうっとりした声で言った
帰るよー 遠くで息子の呼ぶ声がする
金色の美しい雨と笑顔の余韻を残し
僅か3日の滞在の締めくくりは静かに終わった
12/30/2025, 9:30:01 AM