もち米

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「暗闇に埋もれながらも。」
この暗闇から私は逃げることが出来ない。
この暗闇に光なんて、希望なんてない。
いつも、私は臆病で、泣き虫で怖がり。
でも、それが当たり前。それが私にとっての普通。
だから、別に辛くなんてない。
私は生まれた頃から、可哀想って言われるけど、そんなこと、言わないでよ。私はとっても幸せ者なんだから。
あなた達は、アニメとかゲームとかに夢中だけど、あいにく私は全く興味が無い。
私は音楽を聴くことが好き。というか、音を見る、感じることが大好きなの。
雨の音、風の音、人の話す声が大好き。とても落ち着くから。
音だけじゃないわ、匂いを嗅ぐ、見ることも好きよ。最近はお気に入りの香水を見つけたの。
甘い花の香りがするのよ?頭の中で花のイメージが膨らむの。羨ましいでしょ?
私は今を生きることが大好きなの。
今日は何をしようか、どんなことに挑戦しようか。私の欲望は止まらない。
お母さんの声が聞こえた。
「もうご飯よー?一人で来れるー?」
お母さんは過保護だ。
「もう子供じゃないんだから!一人で平気よ。」
そして、ゆっくりと立ち上がった。
今日のご飯はなんだろう?どんな香りかな?
ゆっくりと、ゆっくりと階段を降りて行く。
ニッコニコの笑顔を作ったつもりで。
でも、そんな私にだって闇の闇はある。
時々思うことがある。私は知識が少ないの。
これも仕方が無いこと。わかってる。それでも、沢山知りたいことがある。本が読みたい。メガネをかけてみたい。お母さんとお父さんの笑った顔を見たい。なにより、私の大切な人をずーっと見ていたい。
だけど、こんな夢は夢のまた夢で、わたしは一生この闇から抜け出すことは出来ない、臆病で、怖がりなの。
今も手が震えてる。
いつだってフラフラしている。
私は一つの棒がないと怖くて怖くて歩くことすら出来ない。いつだって慣れない。
今だって、笑顔を作っているはずだけど、本当にこの顔が笑顔なのかは見て見ないと分からない。あーぁ、震えちゃって、ほんとに自分は怖がりね。こんなことを考えているのはいつものことでしょ?そんなことを考えているうちにどうやらリビングに来ていたようだ。
「あっ、降りてきたのね。お父さん机の上の新聞片付けてください。」
新聞か、。何が書いてあるんだろう。
四コマ漫画?というものはあるのだろうか。
文字がぎっしり詰まってるとはどういうことなのだろう。知りたいなぁ。知りたいなぁ。
よしっ!考えるのはやーめた!
どうせこんな気持ちになるなら、いっその事この気持ちは割り切ってしまえばいいんだ!私にだって私なりにできることは沢山ある。
そう自分に言い聞かせる。私は怖がりで意地っ張り。
もし、私の事に対してとやかく言ってくるやつには、いつもこう答えるの。
「私の目はね、みんなと同じところにはないの、私の目は耳と鼻にあるのよ。素敵でしょ?」
ってね。
今日の怖がりは明日の光になっているって信じてるからー。

3/16/2024, 11:54:52 AM