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空は遠い。
伸ばしても触れないし、行くのにはきっと時間がかかる。実際おじいちゃんは82年かかった。
でも、私はそうかからなかった。先行きへのどうしようもない不安は簡単に人を殺す。
コンクリートに叩きつけられて、やけに近く見える真昼間の、冷ややかなまでの夏空を眺めている。

身体の感覚がふっ、と薄れる。
空へ行くのだと、何となく思った。
が――
「……」
身体はコンクリートにただめり込んでいく。
声を上げることはできない。カラになった私の体と青空が見える。
人は殺生罪を犯せば地獄に行くらしい。
私は、私と、その生命維持のために多くの生き物を殺した。
二つ以上命を奪えば極刑なんて、何だか法律みたい。

沈んでいく視界、カラの体だけが空に上っていくように見えた。
【遠くの空へ】2024/04/12
インフルの吸引剤ってのみにくいですよね。知らないってそんな殺生な

4/12/2024, 2:08:43 PM