触れてはいけないと言い付けられていたその扉は、しかし、鍵が掛かっていなかったんだ。指の僅かな力で簡単に開いた。そして初めて見た外の世界は喧騒と振動、よく分からないごちゃごちゃしたものでいっぱいだった。うごめくぶよぶよとした何かが近寄ってきたから、ぼくは慌てて扉の中に戻り扉を固く押さえ込んだ。
外には怖いものがいっぱいだ。ああ、だから外に出てはいけなかったんだ。僕は行動を禁止されていたのではなく、守られていたのか。きっとそうだ。
ぼくはもうすっかり安心して寝床の敷布にくるまった。
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鳥かご
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所感:何も知らないということ。
7/26/2024, 10:31:06 AM