「あは、猿みたい」
4歳の私は、生まれたばかりの弟の顔を見て思わず呟いた。
それを聞いた母親の顔、まさに鬼のようだった。
「お前の顔はもっと醜かった!」
そこから私の地獄が始まった。
母親は徹底的に私を無視した。
蝿のように叩き、汚いと怒鳴り続けた。
ささやかな天国が訪れたのは結婚してからだった。
夫と猫の里親になってからだ。
人見知りで神経質な猫は、子供の頃の私に似ている。
何度も猫を抱き締めて、大好きと繰り返す。
私の心がゆるゆると溶けていく。
私のささやかな天国。
5/28/2023, 9:36:34 AM