誰もいない家に、テレビもつけず、ただお湯が湧く音だけが聞こえてくる、リビング。
母は友達とショッピングに、兄と弟は2人揃ってアイドルのコンサートへ、父は休日出勤。
私も予定はあるにはあったのだけど、めんどくさくなって直前になってキャンセルをした。
午前中はダラダラとすごし、今はお昼時。何も考えず適当にカップラーメンを取りだして湯を沸かしていた。
カチッ、と音が鳴る。お湯が湧いたサインだ。
さっさとカップラーメンに湯を注いで、リビングに持っていく。いつもはスマホのタイマーで時間を計っているけれど、たまたま近くにあった砂時計を使ってみることにした。
砂時計を引っくり返して、優しく机の上に置く。
砂時計は好きだ。砂時計を見ている時だけ、時間が穏やかに過ぎていくように感じるから。
ここ最近、嫌いなことをしていて、早く時間が過ぎないかとちらちらと時計を見るあの虚しい時間が増えた気がする。あの感覚、どろどろと感触悪く過ぎていくあの時間は、私は嫌いだ。
かち、かち、と無機質に鳴るあの音よりも、サラサラと、優しく頭を撫でてくれるような音を聞いている方が、時間の進みを早く感じる気がする。
なんて言ってる合間に、3分が経過したようだ。
私はいただきますと言うと同時に、なんとなく、また砂時計をひっくり返してみた。
10/17/2025, 12:41:49 PM