まだ世界は眠っていて、静かな淡い青に満たされている。その時はまだ、朝焼けの匂いを閉じ込めた海がぼくらの街を飲み込んでいる。ビルの周りにはくらげが飛び、空には大きなくじらが悠々と揺蕩っている。遥か頭上で聞こえる、遠い波と波が擦れ合う心地よい音が、ぼくの耳をくすぐって、海と月が惹かれ合い、海がゆっくりと遠ざかる時、ぼくらの街が、目を覚ます。
2/6/2025, 1:08:58 PM