小鳥遊 桜

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【もう一つの物語】


忘れたくても忘れられない。

〝なんでこんなことするの!?〟
〝るなちゃん狂ってるよ!〟
〝るなちゃんと関わったら動物さんたちみんなが……〟

わたしが小学校低学年の話。

わたしは、クラスのみんながなりたがっていた飼育係にどうしてもなりたくて、普段手をあげないけど…頑張ってあげて、くじ引きをして、飼育係になった。

うさぎとかモルモットとか色々いた。
可愛かった。
愛した。

でも……


「どうして、みんな元気ないの…?」


わたしは、いじめられてたみたい。
わたしが、うさぎたちに、あげたご飯の中にダメなものを入れて、わたしがしたって先生に言ってた。
掃除も綺麗にしたのに、ちゃんとごみ捨てをしたのに、全部散らかってた。


わたしは、毎日毎日、泣きながら帰ってた。

その度に、お姉ちゃんは優しく抱きしめてくれて、助けてくれた。


……先生に、お金を渡して。


元気がない動物たちは、有名な動物病院の先生に来てもらって、ちゃんとみんな元気になった。

わたしが通る道全てに防犯カメラ設置して、監視してた。

いじめっ子たちは、それぞれ別々の場所に飛ばしたってお父さんから聞いた。


わたしの周りには、その日から、人が来なくなった。

〝るなちゃんと関わると飛ばされる。〟
〝先生に何を言っても、全部るなちゃんの味方をするから言っても意味無い。〟
〝るなちゃんの家族は怖い人が出入りしてるみたい。〟

たくさん、言われた。
そして、言った人は、消えた。


12歳になった頃には、誰もわたしのことに触れなかった。
教室で、孤独になった。寂しかった。辛かった。

わたしは、お姉ちゃんに「友だちがほしい」って言った。
お姉ちゃんは、いつもの優しい笑顔で『わかったよ。』って言った。



次の週、学校サボって連れてこられたのは、図書館。

『ねえ、あの子はどうかな?毎日毎日図書館で本読んでるの。それに可愛いでしょ?』

わたしは、こっそりと物陰からお姉ちゃんが言う〝あの子〟を見てみた。

可愛かった。
日焼け止めしっかりしてるから、肌が白くて、服も靴も可愛い。
読んでる本も絵本?みたい。


『今度、声かけてみよう。お姉ちゃんがサポートしてあげる。』




そう言って、次の日、あの子が座ってた席に座って、適当に選んだ本を読みながら待ってた。

その次の日も次の日も……


そしてやっと会えた。


赤茶色っぽい髪の毛がふわっと舞って、初めてあの子と目が合って、ドキドキした…

もしかして、好きになっちゃった…??

好きが分からないけど…ドキドキすることが、好きっていう意味なんだよね?
そういえば、この前読んだ本に、同性婚もできるところがあるって書いてたから、そこに行ったら結婚出来るよね。

ね、一緒に行こうね?
そうだった、名前聞かないと。
紙に書くのに必要だもんね。

そのあとの事は本当にキラキラした思い出だったの。

声かけた時も、一緒に遊んでる時も、
公園の水飲んでる姿見たときも
……ずっとドキドキしてた。

だから、離れたくない。離したくない。
誰かのものになって欲しくない。
わたしだけ…るなの事だけ見てて?
邪魔する人は、バイバイ出来るよ?
安心してね?

るなのくるみちゃん。

『るなとくるみちゃんは、ずっとずっと一生一緒だよ。』

10/30/2023, 5:10:39 AM