「おい、ゆうか!」
『ゆうか』
この名前を何度叫んだだろうか。
俺の大事な妹。
3日前に、公園に遊びに行ったっきり、
帰って来なかった。
警察が家に来た。
両親は自宅待機。
流石にじっとしてられなかった俺は、
くまなく家周辺を走り回っている。
……あのとき、なんでついて行かなかった。
なんでいつものように見送ったのか。
過去の俺が憎たらしい。
ポスターも作った。色んな家を周った。
ネットにも呼びかけてる。
声を張上げて走ってる。
なのに、妹は見つからない。
なんで、なんで、なんで。なんでなんでなんでなんで。
なんでだよ。
どこの誰が俺の妹を、何処にやったんだよ、。
ごめんな。
待っててな、兄ちゃんが迎えに行くから。
助けに行ってやるから。
だから、どうか無事でいてくれ。
ズザァァッ。
足がもつれて地面に倒れ込んだ。
ははっ、だっさ、俺。
そんな俺を嘲るように、空から雨が降り出した。
思いっきり足を叩いたあと、
立ち上がってまた走り出した。
たとえ足がはち切れようと、喉が枯れようと、
何度だって妹の名前を呼び続ける。
だって、俺は、あいつの兄ちゃんだ。
10/22/2024, 9:44:40 AM