冬の朝。空は晴れ渡って、雲一つ見当たらない。朝焼け色に染まった空は、眩しいくらいにきらきらと煌めいている。
「…………さむい……」
そんな中、僕は布団の温もりと格闘していた。目覚まし時計を止めるために伸ばした腕は、ものの数秒で温もりを奪われて、代わりと言わんばかりに突き刺すような冷たさが肌に触れる。よく晴れた冬の朝は、いつもこうだ。寒くて起きられない。
「ぅ゙〜……」
意味もなく呻き声を上げてみるが、やはり起き上がる気力は湧いてこない。いっそもう諦めて寝てしまおうかと、とろとろ瞼を下ろしだした時だった。
「なに二度寝しようとしてんだバカ。」
ばさ、と布団が奪われ、代わりに冷たい布が降ってくる。
「早く学校行くぞ。遅刻する。」
顔の上に乗ってきた布を退けて見ると、制服だった。わざわざ取ってきてくれたらしい。
「…………ありがと……」
そういえば、兄にも目覚ましを頼んでいたのを今思い出した。どうせ目覚まし時計だけでは起きられないから、と。普段なら少しくらい二度寝したって平気なのだが、今日は委員会の活動のせいで早起きしなくてはならなかったのだ。
「せっかく晴れてんだからついでに布団干してけ。もう俺の掛けてあるから。」
リビングに行くと、窓際に置かれた物干しには兄の布団が掛けられていた。言われた通り隣に布団を干し、朝食のパンを齧り、寒さに凍えながら着替えて準備が整った。
「ほら、行くぞ。」
呆れたように僕を見て、ガチャリとドアを開ける兄。朝日が逆光になって、兄がドアを開けてくれるだけのことが、とてつもなく幸せなことのように感じられた。
外は冬晴れらしい寒さだ。息を吐けば、当然のように白さを帯びて辺りを漂う。
「……うん。」
少し急いでローファーを履いて、兄の横に並び立った。寒いけれど、澄んだ空はどこまでも晴れ渡っていて綺麗だ。
「……今日、一緒に帰ろ。」
気がつけば、そう言っていた。この冬晴れの日の夕焼けを、わざわざペースを落としてまで隣を歩くなんだかんだで優しい兄と、見たくなってしまったから。
テーマ:冬晴れ
1/6/2026, 7:23:52 AM