由希

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手を繋いで

彼女とのデート中、隣を歩いている彼女の纏う雰囲気から怒りを感じる
原因はわかっているけどあえて放置している俺は性格が悪いと自覚している
普段と変わらず会話を続けるが彼女の返事が段々 適当になっていく

(そろそろか?)

そんなことを思っていると急に立ち止まった彼女から「ねぇ!」と声をかけられた

(来たか?)と内心わくわくしつつ「何?」と平然と返す俺に「ん!」と自分の手を差し出す彼女
ト〇ロに出てくる男の子か?とツッコミたくなる気持ちを何とか堪えて「何?」ともう1度 聞く俺
俺の「全く分かりません」という態度にあからさまに頬を膨らませる彼女
そんな彼女を「可愛いなぁ」と思いながら見つめていると痺れを切らした彼女が「手を繋いで!」と言ってくる

「いいよ」

差し出されている彼女の手を掴む
そうすると「そうじゃない」と言わんばかりに指を絡めてぴったりと俺の腕にくっついて隣に立つ彼女

「可愛いな…」

「当たり前でしょ!」

俺の呟きに彼女はドヤ顔で返してくる
そんな彼女に吹きそうになる


ーーーー


君と見た景色

自分に自信がなくて下ばかり見ていた僕の手を引いて君が連れ来てくれたのは王都が一望できる高台だった
そこから見える景色に声がでない

「感動した?」

僕の顔を覗き込んで聞いてくる君の笑顔にドキッとする
僕の返事を待たずに君は前を向く君の横顔は美しい
でも、そのまま空に溶けていなくなってしまいそうだと感じた
離れたくないと咄嗟に君の手を握った

「どうしたの?」

「えっと…」

僕の唐突な行動に心配そうに聞いてくる君になんて答えていいか戸惑う
そんな僕の気持ちを読み取ったのか君はニコッと微笑んで僕の手を握り返してくれた
そこからは2人 手を繋いで高台からの景色を見た

それから挫けそうになった時、1番に思い出すのは君と見た景色だ

3/23/2025, 9:27:06 AM