バスクララ

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小さい頃、二つの夢をよく見ていた。
一つはデパートの夢。もう一つは洋館の夢。
デパートの夢はいろんな人が買い物をしていて、私は一人でキラキラしたヘアゴムとかを眺めていた。
それを何回か見ていたけどある時、そのデパートには誰もいなくて私一人だけだった。
だけど寂しくも怖くもなくて、明るいデパートの中を探検して最後はいつものヘアゴムを眺めていた。
洋館の夢は、いかにもRPGに出てきそうな薄暗い館を知らない相棒と共に探索していた。
相棒の姿形も性別もわからない。ただ人だということはなんとなく覚えている。
何回かその夢を見たある時、これが最後だという確信を持って洋館の中に入り、行ったことのない一番奥に相棒と向かった。
そこは書斎で、大きい黒い影のような魔物がいて私たちに襲いかかってきた。
私はやられてしまって相棒に後を託したのだけど、気がつくと相棒がチェス(物理)で魔物をボコボコにしていた。
思わず「え? ……えーーっ!?」と叫んでそのまま目覚めてしまった。
それ以来その夢たちを見ることなく大人になった。
もし願いが叶うならあの夢のつづきをもう一度見てみたい。
何かをするわけではない。ただ、懐かしいあの場所にもう一度だけ帰ってみたいのだ。

1/12/2025, 11:27:56 AM