「友達じゃない。」
「……えっ?」
「最初から、愛美は俺の友達じゃなかった」
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私は、男の子と話すことがあまり得意じゃない。そんな中で唯一よくお話するのが、蓮人(れんと)目立つ存在ではないけれど、いつも周りを俯瞰して見られる。そんな彼だ。
そんな私と蓮人は今日も放課後に二人で帰っている。周りからはもしかしたらカップルに見られているかもしれない。
「蓮人ー、今日は半分こしよ?」
私が和菓子屋さんで購入した今川焼きを、蓮人と半分こして食べたいと思った私。
けれど…、
「いいよ。愛美が買ったんだから、愛美が全部食べな」
「もうっ!違う!蓮人と二人で食べたかったら私が買ったの!……もういいっ!」
蓮人は、周りを俯瞰して見られるのに、私のことは全然わかってない。
察してくれないというか、察しすぎてて遠慮されてるのが凄く分かる。
「私達、友達なんだから、遠慮なんていらいよっ!」
そう、私が言うと、蓮人は少し俯いた。
えっ?なんで?
「………蓮人……、どうして俯いてるの?」
私は今川焼きを半分こして蓮人にあげようとした、その時、
「友達じゃない……」
「えっ?…、」
「最初から、愛美は俺の友達じゃない……」
私の中でゴーンと、なにかに打たれたような衝撃がはしった。
私、傷ついた?
「ど、どうして、そんな事、いうの……?」
今川焼きを持っている手が震えてるような気がする。
「俺と愛美は最初から友達じゃない。
俺にとって愛美は、女の子で、可愛くて、友達以上になりたいって思ってる人……。」
「………………え……………?」
蓮人を見ると、俯いていた顔がみるみる赤くなっていく。
蓮人、照れてる…。
「可愛い………」
思わず私は言ってしまった。
「か、可愛いじゃないっ!!告白してんのっ!!!」
「分かってる。ちゃんと………」
「俺………愛美が好きだ……」
私の手には半分個になっている今川焼きがある。熱々の今川焼きは段々と冷めていく。
私達の気持ちとは、正反対に。
10/26/2023, 6:04:21 AM