Yushiki

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「安心して。貴方が目が覚めるまでにはきちんと終わらせておくから」

 明るく笑う彼女が小さく首を傾げた。
 僕は先程から遠退いていく意識の中で、「何を・・・・・・?」と、辛うじてそれだけを質問する。


「大掃除」


 そう言って彼女は僕に背を向ける。僕はフカフカのベッドに横たわりながら、何だ、ただの掃除か。それなら僕も手伝うのに。と、考えが過る。

 でもさっき彼女が淹れてくれたハーブティーの効果が良かったのか、僕はいま抗えないほどの眠気に襲われていた。もう瞼が重くて開けられそうになくて、何だか僕ばかり楽して悪いなと思っていたら、「おやすみ、ご主人様」と優しい声が鼓膜に届く。
 情けないなと思いつつ、僕は彼女の厚意に甘えることにする。目覚めたときに屋敷がピカピカになっていたら、目一杯に彼女を称賛してあげよう。そう計画しながら、僕はそのまま意識を手放した。



【目が覚めるまでに】

8/4/2023, 3:41:00 AM