孤月

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多分これまでで1番好きになった君との別れは、初めて経験する痛みで、心を余計に壊したくなる想い出となるんだろう。

春先、帰ろうとした君を呼び止め本心を呟いた。

「私の事、身体だけでいいって正直思ってる?」

本当はこんな事聞くつもりなかった。聞いたって僕も君も傷つく。そうわかっていたけど口から溢れていた。

「正直、そうかもしれない。」

思っていた通りの返答。君は口を堅く閉じて、右下を向いている。怒っているのか、図星で後ろめたいのか、嫌いでしかたないのか、鈍感な僕にはわからない。ただ僕に対して好意はもう微塵も感じられないかった。最初の頃、純粋な恋愛感情でないにしろ、向けてくれていた優しい眼差しはもう久しく見ていない。
君の表情や行動から、これから先も僕の好きと君の好きは交わることがないのだろうと実感する。お互い恋愛初心者だったから、不器用なだけなのかもしれない。ただもう都合の良い存在になるのは嫌だと感じた。

「そっか、、、それじゃあ別れた方がいいのかもね。合ってないし、すれ違いばかりだし。」

最初は気遣いあってお互い思いやっていたような気がする。お互い素を出しすぎたのかもしれない。
僕は君のために、カップは左側に置くべきだったし、嫌なことは嫌というべきだったし、君の好きなものをもっと大事するべきだった。そして何より、付き合ってるということを自慢できる人間であるべきだったのに、僕はずっと逃避していた。
君は僕のためにしてくれたことが多いから、僕のことなんてすぐに忘れるんだろうな。

結局はまた自分で大切な人の人生を汚した。ごめんねで許されることじゃないのはわかってる。別れようと言ったのも逃避行動だった。もう、君に迷惑かけたくなかったから、私と同じようになってほしくなくて、堕ちていかないでほしかったから。こうやって綺麗事のように振り返る僕自身に嫌気が差す。

やっぱり僕はひとり堕ちた方が…

君の人生に存在しなかったことにして、忘れてください。本心からこれからの幸せを願ってる。

4/11/2025, 11:40:09 AM