あんなにたくさん作ったのに、冷蔵庫に残っていたのはたったひとつだけ。
「あのさあ」
冷蔵庫の扉を閉めてリビングにいる人間たちに声をかけると、Youtubeを見てゲラゲラ笑っていた彼らはぴたっと黙った。これは確信犯だ。私に怒られると分かっていながら食べたのだ。みんなで。私が作った特製とろうま卵プリンを。
「なんで黙るの?」
あえてそう聞いてみると、私と血の繋がりのある人間、戸籍上は父と母と祖母で人生の先輩とも言えるが、人生の先輩だからといって人が作ったプリンを勝手に食べて良いわけがない。
「ごめん、まりこ」
表面上申し訳なさそうにそう言ったのは私の父である。
「うまかった」
「だー! もー!!」
【お題:1つだけ】
4/4/2026, 9:49:35 AM